近頃ちょっと気に成る話

昔はそんな話聞いた事さえ無かった いや有ったにしても誰も気にさえ止めなかっただけなのかもしれない

異変を感じ出したのはこの二三年で 山郷で生きる友人らにそれとなく話を向けると 抱いていた疑問が

確信へと変化して行く。

国指定特別天然記念物 ニホンカモシカの(俗名クロ) 生息数が減り出した事で 此れは猟師山師にとり

邪魔な存在でしか無く 出会いが減れば其れは其れ喜ばしいな事で 問題意識を抱く事はまず無いだろう?

しかし事態はそんな単純な展開で終りそうに無く 実はこの所谷間や山中で その骸を発見確認する事等が

多く成って居た 当初は野犬に追われたか 不心得者に撃たれ放置されたとか 深く考える事も無かったが

限界知らずの増殖を続けて居た筈の クロとの出会い減少が猟師にとり歓迎する事に他ならず 其れが此処

に来て異常な生態が目に付き出して来た 夢遊病者みたいに林道を徘徊する姿や 人家周辺で車道に立ち

ボーッとした姿で 邪魔だとばかり車で押されても何ら次の行動に移る気配さえみせ無い 気力を失って居る

と云うのか 何か別のものに支配されているかの様だ   このクロが天然記念物として認知されるのはもう

遥か昔の話で 今では詳しい経緯は知る由も無いのだが 伝え聞くに及び 毛皮の上質さと茫洋とした性質に

よって乱獲の対象と成り 絶滅寸前まで追いやられたのが発端だったらしいとか?? まてよそんな昔今ほど

この獣猟に関わる人は多くなかった筈 猟と言えば雉山鳥鴨等を追う 鳥猟師ハンターが主だった時代 所持

する火器も脆弱なものだったろう この時も狩猟圧より ウイルス伝染病の可能性は無かったのだろうか??

昭和も三十年代 山郷で豚コレラ?が猛威を振るった時 山野の猪が姿を消したと 代々猟師を続ける古老は

当時を振り返りそう語って居た! 猪は雑食で行き倒れたクロの骸を漁る事も有るだろう この所彼方此方で

騒ぎ出した 鹿肉の生食によるウイルス感染 つい最近でも東三河の猪にE型肝炎の疑いと 新聞を騒がせた

今自然界が傲慢な我々の胸へと突きつけた警告は どのような変化増殖を遂げた姿で現れるのだろう やがて

下される鉄槌は 避けやり過ごす事が出来るのだろうか 全てが稀有で終れば良いのだが

                                                          
oozeki